国内でグローバルな非日常

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こんにちは!タクトピア代表の長井です。関東でも寒波がビュンビュンで凍えるような毎日ですが、皆さんのところはいかがでしょうか。

タクトピアでは2016年の年末から2017年の年始まで、山梨・大阪・京都の3会場でスタディキャンプを実施しました。今シーズンは私もすべてのキャンプにアテンドできたので、今日の記事ではその裏側を書いてみたいと思います。

大阪府立箕面高校での集合写真。図書館を21世紀型に改装したメディアスペースを会場に使わせていただき、大盛況に終わりました。

タクトピアのスタディキャンプとは

もともとタクトピアではグローカル研修として海外研修を先行して実施していたのですが、徐々に学校の先生方から「海外もいいけど、すべての生徒が行けるわけではない。金銭面で苦しかったり、勇気がいまいち出なかったり…逆に『世界を日本に持ってくる』みたいなこと、できないですかね?」と相談を受けるようになりました。

たしかに海外に飛んでいくというのはいろいろな意味でハードルが高いものです。お金があって度胸のあるヤツだけついてこい、という会社になってしまっては私たちのミッションも完遂できません。というわけでキャンプの企画が始まったのが3年前です。幸い弊社には海外大学の卒業生がたくさんいるので、「海外大学生を日本に呼んで、ふだんの学校の授業ではできない学びの環境をつくる」というコンセプトで企画を始めました。海外大学生に関しては、これまでにMIT(マサチューセッツ工科大学)、ハーバード大学、UCバークレー、UCL(ロンドン大学)、オックスフォード大学と英米の大学からの参加を受け入れてきました。

参加者と海外大学生のひとりArnaldo。言語学の専門なだけあって、英語で苦労する生徒さんに対するサポートも素晴らしかったです。

キャンプの内容はいくつかの種類があり、リベラルアーツを主体とするもの・課題解決型・英語学習に重きを置くものなど様々です。しかし一貫して大事にしているポイントがあります。

 

スタディキャンプのポリシー

1.創造的なインタラクション(相互作用)

海外大学生は先生役というよりはプロジェクトの仲間であり、なるべくフラットな関係を築いてもらうことを重視しています。もちろん必要に応じて彼らには専門性を活かしたレクチャーをしてもらったり、海外での大学生活について教えてもらったりという役割をお願いしますが、それらはあくまでゴールに至るまでの第一ステップです。

みんなが輪になってアイデア出し。ワクワクするゴールに向かって議論を進めるうちに内容にのめり込み、英語は手段となっていきます。

2.プロジェクト型学習

全日程を通してゴールを設定し、最終日にはプレゼンその他の形式で発表(アウトプット)をしてもらう設計です。この発表に向かうまでのプロセスをプロジェクトとして仕立てており、その場においては参加者の生徒さんも海外大学生も立場はフラットです。英語コミュニケーションにトライしながらも彼らは共通のゴールに向かって協働していきます。

京都キャンプは同志社中学校・青翔開智中学校と開催。学校をつくろうプロジェクトと題し、最終発表は学校の経営陣になりきって自分たちの理想の学校をプレゼンしました。

3.ハンズオン

とはいえ英語コミュニケーションには苦労するのが参加者の常です。ですが「英語ができなきゃ参加できないよ」というキャンプにはしたくないため、内容の多くをワークショップ形式にして生徒さんが言語以外のものによっても(つまり、手や身体を使いながら)コミュニケーションしやすい場所の使い方、道具立てを工夫しています。

いきなりジャグリングに挑戦。山梨キャンプではimaginEX社のRaiki Machidaさん(写真左)にも講師として参加いただきました。同じくメガネ黒髪なのでRaikiさんと私が似ているという噂がありますが、イケメンでいい声なのがRaikiさんです。お間違えなく。ちなみに山梨キャンプには探究英語クラスを共同開催しているa.schoolさんの生徒さんも参戦してくれました。

これらに気をつけながら学校さんの教育目的と照らし合わせながら設計・運営するのは並大抵の苦労ではないですが、タクトピアでは嶋津幸樹を筆頭にチームを組み、海外大学生と事前に綿密に連携することで実現できています。身内ながらスゴイことだと思います。

また、日本で教育に携わる者としてとても嬉しいのは、毎シーズンの募集に対して海外大学生から8-10倍という倍率で応募があることです。日本の教育プロジェクトに熱意をもって応募してくれる大学生が海外にこんなにいる、という事実は驚きですし、タクトピアとしては海外大学生にも多くの機会を提供していきたいと願っています。

UCL(ロンドン大学)で開催されたタクトピアプログラムへの参加募集説明会。前回の参加者が体験を語ってくれています。こうした生態系づくりもタクトピアの目指したい世界観の一面です。

残念なこと。「エリート大学生が来る」という捉えられ方について

おかげさまでスタディキャンプは多くの学校さんからご相談いただいており、これからも広げていきたいと考えているところです。ただ、一点残念に思っている点があります。それは海外大学生に関して上記のような大学名の紹介をおこなうと、たまに先生方が「そんな大それた大学の方々に来てもらってもうちの生徒はきっと萎縮してしまいます」といった言い方をされることです。これについては2点言いたいことがあります。

  • まず、生徒さんの可能性を否定してほしくない。相手が誰であれ、生徒さんは柔軟にコミュニケーションして協働する意欲と力があることを、私たちはいままで何度も目にしてきました。
  • 私が上記のような大学生を自信をもって日本へ呼び寄せているのは、「彼らがエリートだから」ではなく「彼らが卓越したリーダーシップをもっているから」です。ここでいうリーダーシップとは国や文化の違いを受容して人を巻き込み協働できる力のことです。この点において海外大学生たちは良きお兄さんお姉さんとして身近なロールモデルとなってくれているのです。

今シーズン参加してくれた海外大学生たちと。各自が大学で学ぶ目的をしっかり持ち、日本の教育に熱意を燃やしてくれる素晴らしいリーダーです。

 

日常と非日常のサイクル

最後にスタディキャンプを学校さんと共同でおこなうことの意義について。日本でもグローバルや英語をテーマにしたスタディキャンプがだいぶ増えてきた印象がありますが、よく聞かれるのが「短い期間キャンプに参加したからといって本当に何かが身につくのですか」という質問です。私の意見としては「力をつけるのはあくまで日常の学習。キャンプは学習モチベーションを向上させたり将来の指針を得るための原体験の場」です。この意味で、日々の学習を着実に推進する学校さんと、短期間ながら強烈な体験を提供できるタクトピアとのコラボーレーションが活きるのだと考えています。

事実、昨年の夏にスタディキャンプに参加してくれた女子高生がその後海外へ目を向けるようになり、年始にボストンで開催されたMITのプログラムに乗り込んでいった(なんと、これが初めての海外渡航だったそうです)、ということも起きています。スポーツと同じで、パフォーマンスに影響するのは日々のトレーニングだけでなく、原体験やモチベーションも然りだと思うのです。

 

社内では早くも夏のスタディキャンプの計画が始まっていますし、今年は春期にも実験的に実施するかもしれません。タクトピアのスタディキャンプに引き続きご注目ください!

 

今週の1枚

日本橋の歴史あるエリア(つまり古いビル)にある秘密基地的なタクトピア東京オフィス。寒さに負けず快適に過ごすために床にラグを敷くことにしました。断熱シートを挟むことで体感6℃は違うという噂も?みんなで少しずつオフィスを育てていくのは楽しいものです。

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