子育てがオトナの成長のための絶好の機会だという話

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私には2人の娘がいます(今日時点で6歳と2歳)。妻もフルタイムで働いていますので私も保育園の送りから寝かしつけまでの子育てタスクをそれなりにこなします。「起業もして子育てもしてるの!?大変〜!」(眉毛はハの字)というコメントもちょいちょい頂きますが、正直なところ、子育てと並行したほうがトータルで人生のプラスになっていると感じています。

清里で撮った長女との写真。気づいたらもう4年前。

人生のプラス」というのは、単純に子育てという行為が楽しいという話だけではありません。教育に携わっている者の視点からしても 「子育てはオトナ自身の成長のためのチャンスでもあるんだ」と本気で思っているのです。今回は、あえて社会のためでも子どものためでもなく「自分自身の成長のために子育てがどう活きるのか」という視点に振り切って書いてみようと思います。

※以下に書いたことは「子育てでないと経験できないこと」ではありません。あくまで私の視点から、子育てという(決して楽しいだけでは済まされない)経験を、こう考えたら自分の成長に繋げられると思ったよ、というスタンスで書いたものです。ご了承ください!

オトナが成長するポイントは主に3つあると思います。

 

予測不能な事態への対応力を鍛えられる

子どもが泣いたり怒ったりあるいは駄々をこねたりといった場面では、たいていの場合理由がはっきりしません。そしてそれは日に150回くらい起こります。親である以上、我々はなんとかしなければなりません。この「猶予なし理由不明の絶対的優先順位No.1対応事項を、(少なくとも表面上は)冷静に対処する」というミッションは、NASAの有名な採用試験もかくやと思わせる難易度ではないでしょうか。

考えてみれば21世紀のビジネス環境変化はどんどんスピードアップしており、数年先さえ予測不能と言い切る研究者もいるほどです。これからもどんな青天の霹靂が起こるか分かりません。そんな状況への対応力を鍛えるのに、実は子育ては絶好の機会なのです。日々襲いくる子育てミッションをこなすうち、オトナの予測不能対応力は格段に上がっていくはずです。

※このプレッシャーと責務の板挟みによって育児ノイローゼなどの問題が起きてしまうこともあり、それ自体はもちろん解決すべき社会問題だと思っています。

 

タイムマネジメント力が鍛えられる

食事、お風呂、寝かしつけ。保育園や幼稚園に預けるなら送り迎えなど。子どもがいなければかなりフレキシブルに時間を使えるところが、子どもがいるだけで仕事を強制終了しなくてはいけないタイミングが格段に増えます。洗濯などの分かりやすい家事も増えますし、子どもの爪切り連絡帳の記入、「保育園に預けるオムツに油性ペンで子どもの名前を書く」みたいな名前を付けにくい”家事”まで、そのバリエーションは半端なく多いのです。

私も独身時代には「よーし、今日は吉野家でさくっと夕飯食べて、家で仕事を片付けてしまおう」みたいな日がよくあった気がしますが、いまやそんなことはできません。妻が残業をする日であれば、18時半には娘たちを迎えにいき、そこから21時半くらいまではノンストップで食事→入浴→寝かしつけのコンボです。その後皿洗いなどが必要な場合も。こうなってくると、使える時間が1日のなかで本当に限られてきて、そのなかでいろいろな仕事を進めていかなければなりません。ちなみに何らかの作業を強制中断している場合はその精神的ダメージもじわじわきます

「こういうときだけ写真を撮ってあざとい」と大好評(!?)のお掃除風景。

しかし、この習慣が身につくと「本当に自分がやるべき仕事は何か」「どの仕事をどのくらいの時間で終わらせるべきなのか」といった時間のやりくりの感覚が鋭くなり、結果的に仕事の効率を上げることができていると感じます。巷では長時間労働の見直しが叫ばれていますが、基本的には大賛成です。自分が出すべき価値とその効率に対してオトナはもっとシビアになれるし、なったほうが結果的に幸せに働けると思います。

 

地域社会への接点を獲得する

子どもの幸せを願わない親はいない、といいますが、子どもの幸せは(特に年齢の小さいあいだは)地域社会と切っても切れない関係にあります。市区町村や出産予定の病院が開催してくれるパパママ教室に行ったときの妙に居心地の落ち着かない感じ。あれは、「寝に帰るだけ」だった自分の街が、突然「子どもの安全と成長を預ける文字通りの”ホームタウン”」になった瞬間の戸惑いなのだと思います。

私自身の地域活動としては、朝日新聞にも掲載された次世代学童保育・塾の「ネクスファ」さんにてレゴの先生をやらせていただいています。

その感覚に慣れてくると、次にやってくるのは「うちの子を頼むよ、ちゃんと税金払ってるんだからさ!」という、自治体への期待感です。けっしてモンスターペアレンツ的な話ではなく、子どもと税金を通して(場合によってはお祭りへの参加とか地域清掃とかもあると思いますが)未来の地域社会のあり方について視線が鋭くなってくるわけです。

これは持論ですが、日本人の政治的無関心の理由は「顔の見えない1億2千万人という超巨大コミュニティを想像できないから」だと思います。私が以前デンマークやオランダを訪れたときに印象に残ったのは、どんな人でも自分の政治的スタンスと意見を語れる風景でした。これは、参政権を自らで勝ち取ったという歴史的背景もあるのでしょうが、人口サイズが小さいという側面も無視できないと考えています。政治の話を「自分にすぐ影響してくる身近な話」として捉えることが、オトナの目を未来と政治に向かわせる第一歩なのではないでしょうか。その意味で、子育てをきっかけに地域社会への接点を得ることはとても重要だと思うのです。

 

子どもに育てられている

いかがでしたでしょうか。あくまで実感ベースで書いたものなので「それはお前が未熟なだけだ」というご指摘もあろうかと思いますが、少なくとも私は日々こんな成長実感をもって子育てをしています。その意味ではまさしく「子どもが私を育ててくれている」と思っていますし、この恩返しとして自分の娘たちにはいろいろな世界を見せてあげたいなと願っています。すでに国内の企画には長女を連れ出したりしていますが、いずれは海外研修にも(お手伝いの役割をちゃんと果たせるようになったら)巻き込んでいきたいと、チャンスを虎視眈々と狙っています。こういったフレキシビリティは、ベンチャー企業をやっている役得かもしれませんね。

子どもを生み育てるのは大変な生活の変化をもたらしますし、女性にとってはまさに人生の一大事かと思います。でもその先にはより一層楽しく、自分も成長できる機会があるよ、というお話でした。それではまた次回!

今回は触れませんでしたが、子どもはオトナのフィジカルな成長も手伝ってくれるのです。写真は以前私がトライした「子ども乗せ腕立て伏せ」です。いまでは子どもの体重が圧倒的に増えてしまって、私の筋力では持ち上がりませんが…

社名の由来〜世界一の学びの生態系へ

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今日はタクトピアの社名の由来についてご紹介します。

社名って重要?

皆さんは世の中の企業の名前に興味があるでしょうか?どんな成り立ちなのかとか、調べてみると面白いものがありますよね。ひょっとすると人によっては「企業なんてお客がついてお金が稼げれば名前なんてどうでもいいんじゃないの?」と思うかもしれません。

私は個人的に、ビジネスを始めるときに社名は非常に重要なものだと思っています。文字通り魂が宿るものだと。社名に魂を込めないと、お客もつかないしお金も稼げないのです。同じことは会社の名前だけでなく商品の名前にも言えると思います。

ハバタクの場合

さて、タクトピアの社名について語るためには、先に親会社であるハバタクについても語っておいたほうが良いですね。「ハバタク」は2つの理念をかけ合わせたもので、「世界に羽ばたく」という日本語の意味と「have a Takt(人生の指揮を執れ)」という英語の意味が含まれています。これを思いついたとき、その場の全員が「それだ!」と叫んだくらいの傑作です。ですよね?(このあたりのエピソードはまた別の記事で書きますのでお楽しみに)

「ハバタク」は2013年にコクヨファニチャーさんから「社名の由来コンテスト」で賞をいただきました。

というわけでハバタクグループとしてはTakt(指揮棒)が重要なキーワードとなったのです。ちなみにロゴに登場するキャラクターも「タクトくん」と命名されました。

彼がタクトくん。毎年正月には干支コスプレしたり、パンフレット等ではいろいろなポーズを決めたりとよく活躍しています。

タクトピアに込めた決意

そして2015年の春。新子会社の立ち上げにあたってふたたび社名のブレスト大会が実施されました。サンフランシスコ・東京・ホーチミンシティと遥かに離れた3拠点をSkypeで結んでブレストを行いましたが難航し、貸し会議室の残り時間が5分となって冷や汗をかきまくり、最終的に全然候補に挙がっていなかった方向からドカンと発想がやってきて生まれたのが「タクトピア」という名前だったのです。このときも全員が「キター!」と叫ぶほどの決まった感がありました。

ロゴデザイン。社名が決まってからデザイナーさんに起こしてもらいましたが、これはこれで何度も議論が紛糾した末に出来上がった自信作です。

では、「タクトピア」に込めた理念とは何か。前半の「タクト」はハバタクから受け継いたキーワード”Takt”です。つまり、自分の人生について自分で指揮をとっていけるリーダーシップのある人を育てていこうという思い。そして後半の「トピア」は”utopia”、つまり理想郷を創るという思いが込められています。この2つを合わせて、タクトピアの提供する研修プログラムを通して世界に羽ばたこうとする人々とそれを支援する人々が学び合う有機的なつながり(=生態系)を生み出したい、というのがタクトピアの目指す最終的なゴールなのです。

生態系を創る楽しさを実感する機会が、ここ1年でぐっと増えてきました。たとえば高校時代にタクトピア(タイミング的にハバタクの場合もありますが)のプログラムを受けた学生さんが大学生となり、国内や国外のプログラムでメンターとして手伝ってくれるようになったり。国内スタディキャンプに参加してくれた海外大学生が、その後も参加者や大学生メンターと密に連絡を取り合って交流をしていたり。見学に来てくださった学校の先生方や民間企業の方が知り合って新しい企画を立ち上げたり。そうした人のつながりが新しい学びの機会を創出すると信じています。

大学生となった立命館宇治高校と新潟県立国際情報高校の卒業生たちがオフィスに遊びに来てくれたときの様子。それはもう賑やかでした。

これは持論ですが、教育の究極の形態は「良い学習プログラム」ではなく「良い生態系=人間関係」です。世界の多様性に触れ、自身の創造性を存分に発揮できる環境で成長することこそが、この世界を(身の回りのことからちょっとずつ)良くする21世紀型のリーダーの要件だと思うのです。タクトピアは世界で一番の学びの生態系づくりを目指して今後も進んでいきます。

 

今週のニュース – 嶋津幸樹が「世界一の英語教師」に選出

世界最大の教育企業「ピアソン」が主催する英語教師のアワードで、弊社の嶋津が選出されました!約1500名の応募者のなかから世界で5名、アジア・オセアニア地域の代表としての選出です。これからも嶋津が率いる英語プログラムおよび国内スタディツアーはどんどんパワーアップしていきますので、どうぞご期待ください!詳細は以下のページをどうぞ。

Meet an award winner: Koki Shimazu

なくてもできる、ないからできる

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みなさんこんにちは!タクトピア代表の長井です。ブログの投稿は2回めなのですが、まだ何を書こうか迷っています…笑 いろいろな仕事の話もしたいのですが「その前にお前は誰やねん」というツッコミが聞こえてきそうなので、私についても紹介させてください。

まとまった自己紹介は以前にインタビューいただいたこちらの記事こちらの記事を見ていただくとして(感謝!)、今回は最近よく質問される項目を中心に語っていきたいと思います。

 

◆教育のバックグラウンドはナシ

教育学部出身だったり、教職免許を持っていたり、学生時代に熱心に教育プロジェクトに参加していたりしたわけではありません。私の興味は一貫して音楽(とくにクラシック音楽)にあり、若気の至りで藝大に行きたいと思ってしまうレベルでバッハ狂です。結果的には夢破れて東大にいくことになりましたが、そこでも美学藝術学研究室に入って修士課程まで研究を続けました。

唯一教育的なバックグラウンドと呼べるものは、IBMのコンサル部門(当時はIBCS)にいた際に新人育成プロジェクトに参画し、レクチャーの設計方法やPBL(Project Based Learning)の基礎を学んだことです。

IBCS時代。社内育成プロジェクトに関わった同期10人のうち、3人(左から小原、丑田、私)がハバタクの創業メンバーとなった。

その他の記事でも語っているとおり、IBMにいた際にリーマン・ショックを経験したことで教育への問題意識をもつに至りました。既存の教育業界に属さないので先入観なしにいまの教育を見つめることができ、ある意味空気を読まず変革に向けて動けるのが私の強みかなと思っています。

 

◆グローバルな経歴もナシ

千葉県の中高一貫校から東大に進み、そのまま就職してしまったため海外への進学/留学経験がありません。結論から言うととても後悔しています。いまの知識をもった状態で中高生に生まれ変われるなら迷わず海外へ行きたいと思うのですが。もちろんこれからもチャンスがあるとは思いますが、若き日々は還ってきません…

しいて短期留学らしき経験を挙げるとすれば、大学時代に所属していた運動会少林寺拳法部から選抜していただいて参加した武術交流のプログラムです。オリンピック選手が多数所属する北京体育大学に泊まり込んで中国の武術家の卵たちと交流した経験はとても貴重でした。文部科学省に感謝です。

東大少林寺拳法部は演武も乱捕もこなす強豪校。写真は初めて大会に出たときのもの。

タクトピアには海外経験豊富なメンバーが溢れているので、私のカゲの薄いことといったらありません。ですが、メンバーに活躍してもらうのが一番なので経営者としての私はもっぱら雑用力を鍛えるのみです。また、一般的な学生さんやお客様の視点と一番近いところにいると自認しているので、プログラムを開発していくうえで逆に自分の感覚を利用できるという強みがあります。

 

◆たぶん起業家体質でも、ない

私はもともとどちらかというと保守的なほうでしたし、ひとりで起業を決意できるような度胸もなかったと思います。私にとって幸運だったのは、2010年にハバタクを起業するにあたってIBMの同期だった丑田俊輔と小原祥嵩の2人が仲間だったことです。3人が集まることで問題意識を共有し、事業のアイデアを練り、会社を辞めて独立するという決意ができました。

超余談ですが私はピアノも連弾のほうが好きだったり、少林寺拳法でも多人数での演武を得意としていたりとチームワーク適性だけはあったので、そこが功を奏しているのかもしれません。

連弾を組んでいた弟と。髪型の違いがジェネレーションギャップを感じさせる。CDっぽい装丁は当時ネタで作りました。

起業はスティーブ・ジョブズのような孤高の天才がするようなイメージがいまだに蔓延していそうですが、最近の研究ではチームワークの有効性が実証されつつあります。その意味では私のようなタイプは実は起業シーンにもっと需要があるのではないか…などと都合のよい妄想もしています。

自己紹介についてはそれぞれ細かく語るとキリがないのですが、需要がありそうでしたら別に記事を立てて語りたいと思います。

そういうわけで禅問答みたいな自己紹介ですが、「ない」から物事を諦めるのではなく、「ない」ことも武器にしていけるのだなと思うようになった今日このごろです。そんな人間が社長をやるとどんな面白い事業が繰り広げられることになるのか、今後の記事を楽しみにしていてください!

 

今週の1枚

神奈川県にある私立男子校・聖光学院さんで、3月に実施する海外研修のキックオフをおこないました。自分たちで訪問したい人や企業を調べあげ、アポをとる順番を投票で決めたりと、とてもアクティブです。次に会うのは事前研修ですね。楽しみにしています!